日替わりコラム
人生の主人公
 故谷口清超先生の御著書『幸運の扉をひらく』を久しぶりに読ませて頂きました。この中で高田屋嘉兵衛という廻船問屋の話が出てきます。簡単に説明すると江戸時代後期、開国を願うロシアと鎖国中の日本の間で、ロシア軍が日本の村を襲い、日本は報復として軍艦の船長を捕まえます。そんな緊張の中、嘉兵衛は千島列島航海中にいわれなく拿捕されてしまいます。しかし持ち前の明るさと強さによりロシア船長以下乗組員に信頼され礼遇されます。その後、開放され日本とロシアの親交の架け橋として活躍されたというお話です。
 このお話を読ませて頂いた時、大黒屋光太夫という廻船船頭の話を思い出しました。今から十数年前に見た緒形拳が光太夫を演じる『おろしや国酔夢譚(おろしやこくすいむたん)1992年 東宝配給』という映画で、伊勢湾の白子港を出港した光太夫の船が暴風雨に遭い漂流、カムチャッカ半島よりも北のアムチトカ島に漂着、多くのロシア人の深切を受け、帰国の許可を得るため首都ペテルブルグに向けてシベリアを横断しますが、極寒の中、次々に仲間が倒れていきます。それでも帰国の信念を持ち続け、当時のロシア女帝エカテリーナ2世に謁見、晴れて帰国が叶うというものでした。テレビで放映されたこの映画を見ながら、光太夫の力強さと明るさにいつしか応援している自分がいました。
 この二人は共に拿捕や漂流という目に遭い、知らない異国の地で荒波や極寒に耐え帰国の希望も叶うかどうか分からない絶望とういう環境の中で、その逆境を支配する“人生の主人公”となり困難を克服していきました。
 そんな二人の船乗りのことを思い出していたら、なんだか葛飾北斎の『富嶽三十六景』を見たくなり、波だけにネットサーフィンをしました。検索サイトという羅針盤のお陰でインターネットの大海原でも彷徨うことなく見つけることが出来ました。
 北斎の大胆な構図や力強さ、色数が思った以上に少ないことに気付きました。しばらく見ているとなんだか描きたくなったので、いつものようにパソコン上でマウスを使って模写してみました。ただし、富士山は描かずその代わりに雲の上はいつも太陽が輝いている絵にしてみました。
 本日まで開催されました第349回龍宮住吉本宮練成会ご参加の皆様の船出にエールを送ります。
文・絵:錦織 義記10月7日

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