日替わりコラム
ピンクのマフラー
行事の続いた9月、10月の間は、練成会などの司会に携わる機会も多く喉の状態を気にする日々でした。10月半ばを過ぎると、朝晩は若干冷え冷えした感じになり、首回りを暖かくしてコンディションを整えようと思い、衣替え前の衣装ケースからとりあえず適当な物を引っ張り出しました。そんな状況だったので、普段ならタンスの底にしまい込んで、結局その年も使わなかったというようなマフラーを、久しぶりに身に付けて早朝行事に出かけました。

このマフラーはピンク地に淡い緑色の水玉模様があって、そしてウール100%でとても質の良い物です。ただネッカチーフサイズなので使い勝手が難しくて、肩まで温めるにはどうしても大判のストールのようなものの方を選んでしまいます。それで、30年近くたった今でも新品同様なのです。

それでも、久しぶりに使わせて貰って、このスカーフを送って下さったある女性の方のことを思い出しました。その方は、練成会の献労のあと、大腸癌が消えてなくなったという方でした。

当時、入山して間もなくの私は、その方が何故練成会を受けに来られたか、その訳も知る由もなく、ただ明るく真剣に練成会を受けられるお姿にとても好意を持って接していました。特に、献労の感謝誦行をされながらの明るい笑顔がとても素敵で、時折目が合うと新入職員の私にニッコリとして下さるのでした。

献労後の道場への帰り道、その方が道を逸れて、ひとり山の中に入って行かれました。心配した私は、少し離れたところから戻りを待っていて、皆よりだいぶ遅れて道場に帰りました。そんなこともすっかり忘れてしまった頃、その方からこのピンクのマフラーが届きました。

手紙も添えてありました。山の中に入っていったのは、数ヶ月ぶりにお通じがありそうな感じがして待てなかったこと、練成から帰り地元で別の医者に診て貰ったら癌がなくなっていたこと、癌が消えた瞬間に一番近くにいた私を証人と思い、何かプレゼントしたかったことなどが書いてありました。高価そうなマフラーを頂いた事も当時の私には嬉しかったのですが、それよりも練成会のすごさ、献労の素晴らしさを身をもって実感し、震えるような感動を覚えたものでした。その方は、髪の毛が真っ白くなっても団体参拝練成会に続けてご参加下さっていました。

このピンクのマフラーは私の大事な宝物です。



文・写真:林 光子10月30日

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