日替わりコラム
都会と自然
「生長の家白鳩会全国幹部研鑽会」へ参加するために、二年ぶりに東京を訪れました。東京へ行って一番驚くのは、やはり人の多さです。どこへ行っても人がいっぱいで、初めて渋谷のスクランブル交差点へ行った時は、長崎の秋祭り「おくんち」と同じくらいの人出だったので、近くで何か「お祭り」でもやっているのかと思ったほどです。東京は眠らない街。夜になっても人々は行きかい、ネオンやビルの電灯は煌々と灯り、電車も遅くまで走っています。人はたくさんいるけれど、ここには夜になっても、野ウサギもイノシシもタヌキもいないのだなと思うと、なんだか寂しい気持ちになりました。森の中にある総本山に住んでいると、野生の動物や鳥などが常に身近に生息していて、同じ森の住人という感じがするからです。

 都会とは違って、総本山の辺りは夜8時も過ぎると真っ暗になります。近所で明かりが灯っているのは、鳥居の前にあるコンビニだけです。車で寄る人意外は、辺りを歩く人もいません。夜は、夜行性の生きものが活動する時間帯ですから、夜の境内地には、野ウサギやイノシシやタヌキなどが生き生きと活動しているようです。自然界は棲み分けによって調和の世界を実現しているのですから、日中に活動するようにできている人間は、夜眠るのが本来の姿であることを自然が教えてくれます。都会では、夜もまるで昼間のように明るく賑やかなので、本来の姿を忘れてしまっているかのようです。

 東京の出張から帰ってきたのは、夜11時近くでした。境内地は真っ暗で、都会の喧噪が嘘のように静まりかえっていて、まるで別世界のようでした。暗闇の森の中からは、ギャッギャッという生きものの声が聞こえます。何の声だろうと思いつつ、歩きながら空を見上げると、散りばめられた星がキラキラと輝いていました。深呼吸をすると、かぐわしい春の森の香りがします。自然はいいなぁ。たった一泊の出張だったのですが、総本山の大自然の中に帰ってきたのが嬉しくなって、履き慣れないハイヒールで足が痛かったのも忘れて、思わず飛び跳ねながら走っていました。

文・絵:前田 智子5月15日

制作・著作 宗教法人「生長の家」総本山
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