総本山でチップボイラーを調査、導入するまでに3年半の時間がかかりました。それには総本山でのチップボイラー運用に課題があったためです。チップボイラーは、燃料が固形のため石油ボイラーに比べて燃焼のコントロールが難しく、稼働と停止を繰り返す利用にはあまり向いていません。実際、今まで視察してきた施設も入浴や温泉、温水プールなどで、24時間稼働を原則とし、導入されていたチップボイラーも燃焼炉内に耐火レンガを敷き詰めて常に高温に保ち、燃焼効率を高める設計になっていました。
しかし反面、稼働と停止を頻繁に繰り返すような場合には、耐火レンガ自体が膨張と収縮を繰り返し、耐久性が低下してしまうという問題が発生してしまいます。また、一度炉内の温度を下げてしまうと、次に本稼働させるまでに時間がとてもかかってしまうというデメリットもあります。
総本山では練成会運営時以外は、お風呂を沸かす必要がほとんどありません。また入浴者数が、団体参拝練成会のように一度に数百人規模の場合もあれば数十人程度の場合など、年間を通じてボイラーの稼働率が安定しません。そのため、耐火レンガを炉内に持つボイラーでは、総本山での運用に適しているとは言えません。
そんな中、新たに国内で耐熱タイルを使用しないボイラーを開発するメーカーが出始めました。その中から燃焼の仕組みなどに特許を持つA社と地元長崎県の且O基の二社を最終選考として、それぞれ話し合いを重ねて来ました。その結果、A社のボイラーを採用することとなり、2009年12月に工事が始まりましたが、予定していた性能が出ず、(株)三基製のボイラーに入れ替えることとなりました。
2010年7月中旬に工事は完了、テスト稼働の結果、本稼働可能と判断、現在、練成会のお風呂を沸かすのに活躍しております。
(写真はチップサイロに溜められたチップの様子)
調査開始から紆余曲折ありましたが、地元産のチップボイラー採用で、メンテナンスやトラブル時の迅速な対応も可能となり、結果的に一番総本山に適した設備が出来たと思います。(総本山近くの地元業者によりチップは補給されます)